Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

然し、残念ながら、今の私には微塵もそんな心はないので御座います。思えば結婚式がすむ迄、私もやはり世の常の花嫁の抱くような楽しい夢を胸に描いて居りましたが、その夢は、披露の宴の際、忽然として消えました。御友人の一人……お名前は申し上げません……が、可なりに沢山お酒を召し上り、酩酊のあまり、私の母に向って、あなたが網膜炎で片眼しか見えないと御告げになった時の母の驚きは、何にたとえんすべのない程大きいもので御座いました。私もそれをきいたとき、くやしさに胸がはりさける程で御座いました。片眼しか御見えにならぬという事実よりも、それを隠そうとなさった御心に腹が立ちました。何という恐しい御心で御座いましょう。私たちは御仲人様をも恨みました。無論御仲人様も御承知はなかったのですが、それにしてもあんまりな事だと思いました。本当にこの恨みは一生涯忘れまいと覚悟しました。然し、あの場合、事を荒立てるのはよくないと思い、なお又、御友人の言葉が果して真実かどうかわかりませんので、私はそれをたしかめようと決心して、先ず、両親から御仲人様に、その日の朝から月のものが来たと詐ってあなたに告げてもらい、それから褥の上で私はあなたの眼を観察しようと思いましたけれども、用心深いあなたは、眼鏡を御取りにならず、私は私でくやし涙が出て観察どころ