Classiques japonais avec furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lisez 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 989 caractères · 144 écrans
感心どころか胆を潰してしまいました」
或る日貝島は、殊更に眼を圓くして驚いて見せた。「今に先生から褒められるだろう」と、内々待ち構えて居た子供等は、貝島のおったまげたような言葉を聞かされると、一度に嬉し紛れの声を挙げて笑った。
「皆さんがそんなにお行儀がいゝと、先生も実に鼻が高い。尋常五年級の生徒は学校中で一番大人しいと云って、此の頃は外の先生たちまでみんな感心しておいでになる。どうしてあんなに静粛なんだろう、あの級の生徒は、学校中のお手本だと云って、校長先生までが頻りに褒めておいでになる。だから皆さんもその積りで、一時の事でなく、此れがいつ迄も続くように、そうして折角の名誉を落さないようにしなければいけません。先生をビックリさせて置いて、三日坊主にならないように頼みますよ」
子供たちは、再び嬉しさのあまりどっと笑った。しかし沼倉は貝島と眼を見合わせてニヤリとしたゞけであった。
七人目の子を生んでから、急に体が弱くなって時々枕に就いて居た貝島の妻が、いよ/\肺結核と云う診断を受けたのは、ちょうどその年の夏であった。M市へ引き移ってから生活が楽になったと思ったのは、最初の一二年の間で、末の赤児は始終煩ってばかり居るし、細君の乳は出なくなるし、老母は持病の喘息が募って来て年を取る毎に気短かになるし、それでなくても暮らし