Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
て坐ってしまった。
「こ、小六さん……」
とお延は動悸を押さえながら、真ッ蒼になって居竦んでいるところから云った。
「お前さんは、どうしてそう酒癖が悪いんだろうね……、その刀を鞘に入れておくれよ」
「畜生め」
と小六は、ガブガブと左の手で、燗徳利からあおりながら、睨みつける。しかし恐怖におののく妖花の姿を見ると、その瞳は、いつかお延の甘い蜜糖にとろけて、背中へ廻した大刀を、再びふりかぶる勇気も挫けてしまう。
要するに、小六の殺伐なる刃物は、お延を繋いでいる強い鎖であり、お延のもつ豊醇な年増美は、男をとろかす毒液であった。そして情熱でもなく、夫婦愛でもなく、不思議な悪縁の糸に結ばれ合って、互いに離れることも、殺すことも出来ないで、自暴の底に、のた打ち廻っているのが姦夫淫婦の浅ましい実相であった。
しばらくすると、どっちからともなく折れて、お延は小六に機嫌直しの酌をすすめている。
「ほんとに男は怒りッぽい。女の愚痴は、先を案じるからですよ。つまり、お前さんの身も思うからじゃありませんか」
「だからよ、俺だって、まんざら考えのないこともないのだ。いろいろ魂胆は砕いているのさ」