Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
五
そして最後の一口を、刀の柄糸へ、フーッと酒の霧を吹っかけて、
「亭主、茶代は後でくれるぞ」
と言い捨てるが早いか、あれよと見る間に、花吹雪の霏々と乱れる中を衝いて、寒松院ヶ原へ足を宙にして駈けつけた。
五
今しも八面鉄刀に囲まれて、去くも退くも出来ない危地に墜ちた二人の虚無僧は、居竦みのまま、八、九本の切ッ先に五体蜂の巣とされるであろうと思われた。
そこへ、韋駄天の足音、同時にただ何ということなしに、ワーッと遠巻きの見物が、鬨の声を揚げる。
「ええいッ」
ものの見事、駈けつけざまに、一人の武士を斬り伏せた浪人の腕の冴え。
「や、何者だ」
ガチャガチャと乱れ立った山手組の武士を、虫けらのように見下して、ほんのり、眼元を桜色に染めた浪人は、姿に似気ない大音を張りあげて、
「拙者は誰でもねえ、親分なし乾分なしの一本立ち、御曹子の新九郎だ。この虚無僧には、少し縁引のある某、義に依って助太刀するから、束になってかかって来い」
「や、御曹子の新九郎だとッ」
「その男なら、こっちから尋ねていたところ、事ついでに素ッ首を刎ねてやるから覚悟をしろ」
「何を」
と、雄叫びを揚げるや否、右に大剣、左に小剣、バラバラと斬って廻った。