Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
四
「多言は無用じゃ」
と一尺八寸の小太刀をとって重蔵が立つと同時に、大月玄蕃も赤樫の木剣の柄へ両手がかかった。
「いざーッ」
と重蔵の烈声。
「おおうッ」
と玄蕃の雄叫び。――刹那、ぱッと左右に別れた二人のはやさは、大地を引ッ裂いて跳りでた双龍が、珠を争うかの如くにしか見えなかった。
四
その時、大月玄蕃が咄嗟の構えは、赤樫三尺の木剣を天辺に翳し、右手は鍔根を堅く、左手は柄頭を軽く持って、円を描いた両肱の中から、巨眼をみひらいて敵の隙を窺いながら、じりじり左右の足の拇指で土を噛みつつ一寸にじりの攻勢に取って来たのである。
彼を巌松の鷲と見れば、これは飛湍の隼にも似た春日重蔵は、敵より遥かに短い小太刀を片手青眼に一直にして、体は変化自由の斜めにひらき、星より澄んだ双眸の睫毛も瞬かせず、剣禅無我の切尖を、玄蕃の鳩尾の辺りへ擬して行った。――この青眼と彼の大上段、天地二ツの剣と剣の間は、ややしばらく颱風の中心のような静かな空気を澄ませていたが、それはほんの表面に過ぎなかった。つと上段の小手が気構えを見せた先に、重蔵の小太刀が颯と輪を描いて、鋭く玄蕃の眉間へ飛び撃ちに行った。