Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate

Aozora Bunko

三

鷹匠頭が引率する鳥見組十二列が静々とご前へ現われて、厳粛なうちに華やかなお鳥追の式礼を済ます。野遊というお出触れの手前このことがあったらしい。

かくて、まさにその日の八刻半。

旗本近藤甲子之助、野試合奉行を承わって床几にかけ、京極家の控え所、松平家の溜りに向けて二人の武士を走らすと、初めて人をもって埋められた駒場野のお狩地、人なきごとくシーンとしてしまった。

三

青芝を撫でるソヨ風に、きッと鉢巻を結んだ鬢の毛をなぶらせて、彼方四ツ目扇の幕屋から、悠々と歩を運んで来た偉丈夫が見えた。――鐘巻自斎である。

時も同じに、松平忠房の鯨幕をヒラリと刎ねて、颯爽たる姿を現した痩せぎすの青年は、すなわち春日新九郎。水浅黄の小袖に短か袴、昔に変って色黒く、眼鋭く、大妻籠から下山してきた野人の風骨そのまま、鐘巻自斎と、面と面を向いあわせて、ピタリとそこに踏み止まった。

審判見届けとして、双方から介添の家臣が来て、東西の床几に腰を据えると、近藤甲子之助が立って厳かに二人へ言った。

「今日の試合は、其許たちの武名をご上聞あらせられて、ご野遊のお序をもって仰せつけられたものゆえ、勝敗いずれにござろうとも、これをもって必らず怨恨を残されては相成らぬ」