Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
五
そして愉楽の夢に弾んだ息が熱ッぽく男の横顔をまさぐってくるのだった――とその時、遠くの渡り廊下を、静かに摺ってくる人の跫音が此方へ近づいてきた。
「あ、誰か――」
「じゃ今度ね……二、三日うちに……」と暗の中でうごめいた。
お延は囁やいた後で新九郎の頬へ烙印のような熱い唇をつけて素早く外へ姿を消した。
五
蘭谷を取り囲んだ、神斧山の肩から、青白い妖星が、谷間を覗き込んでまたたいている。
宵のうちは、ぽちりと赤く、蟒の眼かと見えていた山荘の灯も、いつか滅して物凄く夜更けて行くうち、何者か? 館の築地の破れから、ひらりと外へ跳り越えた二つの人影。
と見た番人が、鋲門の袖からばらばらと駈け出して、むんずと一人に組みつきながら、
「だ、だ、誰か来いッ」
と絶叫した。
「えい邪魔なッ」
と男の影は身を捻って、どたんと前へ投げつけたが、番人は屈せず刎ね起きて、
「野郎ッ」
と再び飛びかかって行こうとすると、横からすッと寄った女の影が、逆手に持った短刀を、音もさせずに一閃めき、
「やかましいよ!」
「わアッ」
と番人は虚空をつかんでとたおれた。
「あなた、早く――」
女は男の手をとった。