Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
久米之丞はもう盲目です、情炎の獣です、こういうきッかけが出来た以上、彼がつつしみ抑えていた常識も、一時に火となって、すさまじい醜熱の力が、月江の肉をむさぼりにかかりました。
――月江は声かぎり人を呼ぶ。
逃げては捕まり、起きては引きずり倒される。ああ、誰かここへ来てくれないか、ここへ来てこのいやらしい奴を懲らしてくれる人はないか。
彼女はまた、久米之丞に組み敷かれながら、目を閉じて念じましたが、高麗村郷士きっての猛者、この男の力には、さすがの月江も及びません。
でも、二、三度は、必死に男を跳ね返し、あるいは投げつかわしつして、逃げられるだけ逃げのびましたが、のがれて行く先は落葉松の疎林で、いよいよ人通りの僥倖も望まれないさびしさ。
「次郎――次郎や――ッ」
疎林をつんざく月江の声。
ここで次郎の名をよんでも、次郎が救いに来るわけはありませんが、彼さえ居たらば――と思う念がせっぱつまッて、思わずそう呼ばせたものでありましょう。
「月江ッ、月江ッ」
久米之丞は呶鳴りながら、逃げ廻る彼女を追って、疎林のうちを駆けめぐっていましたが、もう見得も外聞もない情炎の獣に、なんの仮借がありましょうか、