Classici giapponesi con furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Leggi 浅草風土記 (あさくさふどき) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.294 caratteri · 318 schermate
なればこそ、先生、「小使部屋の女王」のそうした無理も聞かなければならない筋合をいろいろもっていたらしいのである。――そうと分って初めてわたしは安心した。祖母もまたわたしに附添って、そのあとでは二三年わたしより遅れて入学したわたしの妹に食ッついて、ときに矢っ張、ともどもその小使部屋で日を消す定連の一人だったのである。
……ただそれだけのことである。が、ただそれだけ……といってしまえない、すくなくともそういってしまいたくないものを、わたしは、このなかからいろいろ探し出したいのである――そこには、唖鈴だの、球竿だの、木銃だのをことさらに並べた白い壁の廊下……わたしの眼にそのさまが浮ぶのである。――青い空をせいた葭簀の日覆が砂利の上に涼しい影を一面に落していた運動場……わたしの眼にそのさまが浮ぶのである。――唱歌の教場の窓に咲いた塀どなりの桐の花……そのけしきがいまわたしの眼に浮ぶのである。――そうしていま、煙もみえず、雲もなく、風も起らず浪立たず……黄海々戦の歌である……あなうれし、よろこばし、たたかい勝ちぬ、百千々の……凱旋の歌である……そうしたなつかしいオルガンのしらべが夢のようにわたしに聞えるのである……