Classici giapponesi con furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Leggi 浅草風土記 (あさくさふどき) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.294 caratteri · 318 schermate
二
――どうしてでしょう?
と、ぼくは訊いた。
――開業しても、立ち行きません。……商売になりませんのです。
――不思議ですねえ。
と、ぼくは、機みで、うッかりいった。……が、考えれば、不思議なことはちッともないので、北側と南側とでは、はじめッから性格的にちがっていたのである。……たとえば、以前、北側の歩道には、毎晩、にぎやかに夜店がでた。が、南側の歩道にそうした露店のならぶのは、盆の十二日、草市の晩、一ト晩と、年末、押しつまってからの幾晩かに、ちん餅の用意のできなかった不幸な人たちのための、餅をうる店々が、櫛の歯の欠けたようなわびしさをもって並ぶだけだった。……草市の夜のつゆけさはしばらく措く、年末の、その店々のカンテラの火の、ふきすさぶ風の中、ままならぬ世のならいを瞬いて、いかに空しく暗かったことよ……
二
明治四十四年、二十三のとき、ぼくは「朝顔」という小説をはじめて書いたが、そのなかで、つぎのような記述をしている。
“この二三日、日が暮れると必ず曇るくせがついた。暑いといっても九月の中旬故、大通りを外れたそのあたりは、宵にみえる灯の数さえめっきり減ったが、今夜はしかし観音さまの命日なので、半分だけ戸を入れた暗い軒に、赤い堤燈をつけた家々がちらほらとみえ、それがまたしっとりと秋らしいおもいを感じさせた。