Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate

Aozora Bunko

「えーいッ!」

いきなりさっと柳絮の闇を破った物凄い小六の掛け声。と見る間にピラピラッと闇を縫って飛んだ投げ槍――ああ悪魔の毒槍。

「むむウーッ」

無残、槍の手ごたえと共に、ぱッと血の香を漂わせたところから、ただ一声の唸きが揚がり、一方の虚無僧は、胸板の真ん中を縫われた槍の柄を掴んだまま、と仰向けに大地へ仆れた様子。

「それッ後はご両所」

堤の上から、小六が声をかけると同時に、

「オオ心得た」

と白刃を躍らせて現われた玄蕃と一角は、物をも云わず、残る一人の虚無僧を挟んで斬りつけた。人一人を一気に葬った血飛沫は、昏々とあたりを迷って容易に去らない。しかも、残虐に飽かない魔人どもは、更に残る一命に迫った。ああ既にそれも危ない。

前に斃されたのは千浪の方か重蔵の方か、いずれにせよその一人が、豪剣怖るべきこの悪剣客どもの切ッ尖を迎えて遁れることは難中の難である。

三

ほとんど、魂をおう狂気の人の如く、千住街道を急ぎ足に、先から先の人を追い抜けて来た春日新九郎は、やがて粕壁の立場あたりまで、遂にそれらしい人にも会えず、がッかりすると同時に足も精根も疲れ、陽もどッぷりと暮れ落ちてしまった。