Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
と、声を嗄らせど、扉を叩けど、再び中から答える者はなかった。ああ、何という無情な仕打ち、武士の情けを知らぬ人々。世間はこれ、新九郎にとってみな鬼か蛇か。
彼は茫然とそこに立ち暮れていた。すると、
「もし、新九郎様じゃごぜえませんか」
不意に肩を叩いて云った者がある。びっくりして振り顧って見ると、一文字の笠に道中合羽、わらじ脚絆という扮装の見馴れぬ男が二人立っていた。新九郎は小首を傾げながら、
「はて、誰方でござりましたかの?」
「こんな風態をしていやすから、思い出せないのもご尤もです。わっしは生不動身内のこんがら重兵衛ここにいるなあせいたか藤兵衛でございます」
「おう、ご両所であったか」
新九郎は二人の笠の裡をのぞいて見るなり、なつかしそうに摺り寄って、
「まことにしばらくでござった、拙者もここの道場へ入って以来、薬研堀の方へは絶えて無沙汰を致したままでござるが、親分与兵衛殿も変りなくお暮しでござるかの」
「じゃ貴方は、この道場の外のことは、今日まで何もご存じないのでございますか」
「と申されるのは、何か異変でもござりましたか」
「新九郎様、生不動の親分は、もうこの世の人じゃありませんぜ」