Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
「寄れい!」
騎馬の侍が鞍つぼから呶鳴りつけた。
酔眼朦朧という風で、何気なくひょいと馬上の二人を振り仰いだ新九郎は、ぐわんと鉄槌にでも打たれたように、
「あっ――」
と言って、大地へ五体を竦みつけてしまった。二、三間行き過ぎた侍も、それを奇異に思ったか、駒を止めてじっと彼の姿を見つめ、
「はて、どこぞで見かけた男……」
と呟いた。それは、小野派一刀流の宗家小野忠雄と、高弟梶新左衛門であった。
「む、そやつはご破門になった春日新九郎と申すもの」
「春日? ――おういつか鐘巻自斎先生に名乗りかけたあの若者か――ああ、変っているのう」
「先生のご先見に違わず、生兵法の腕を慢じて身を持ちくずし、意気地の大望も忘れ果てたとやらの風聞、この態ではそれもまったくと見えまする」
「むう、武士の風上にもおけぬ奴――」
小野忠雄は、いかにも憎々しげに土まみれな新九郎を睨みつけて、
「かような者に、一両年でも、小野の道場を踏ませたかと思えば心外千万、見るも胸がむかつくわ、かッ!」
と馬上から青痰かけて、梶新左衛門と共に、ふり向きもせず馬を飛ばして立ち去った。
三
ややあって、新九郎はむっくり顔を上げた。