Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
その上、死力をこめて行く国俊の太刀も、どうした早技か、鉄扇に搦み落されて、あッと驚いた途端には、跳び込んで来た自斎に新九郎の身は横捻じに組み締められて、彼がポンと離すと共に、新九郎はグタリとなってそこに倒れてしまったのである。
気絶させた二人を置き放して、自斎は編笠を拾い取り、スタスタそこを立ち去ろうとしたが、ふと立ち止まって、懐から前の「剣秘不識篇」の古書と矢立をとり出し、挟み紙にサラサラと何事をか書きのこして、それを新九郎の懐に差し込んだまま、道を急いで大妻籠の峰へ向った。
山ひだは濃い紺色をしッくりさせて、十七峯の空は、いつか夕雲華やかに流れ、木の間洩れの陽が山路を赤く染めている。
五
「おウい、行者殿、行者殿」
誰か耳もとで呼ぶ声に、ふと気がついた新九郎、まだ気が張り詰めているので、思わずムックリ眸を上げて見ると、眼の前にいるのは自斎ではなくて、麻の道服を纏い手に藜の杖を持った一人の老翁。
「かねてから、仔細ありげに思うていたが、さてはそういう大望を抱かれているお身の上であったか……、ウーム、しかしこれは容易ならぬことじゃ」
五社明神の階段に腰かけて、こう呟きながら童顔の眦をつぶった老翁は、即ちここの荒れ宮を守る神禰宜の橘左典であった。