Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「へ、へい……」といったが、まだ不安そうに、
「どうか、ま、まッ平御勘弁を」
「何を勘介してくれというのか」
「何しろ、今日は半年ぶりに、伝馬牢から出たばかりなんで、へい、それで仲間のやつが、一杯祝ってくれた晩なんですから、どうか、お目こぼしを願います」
「ふウむ、では察しの通り、貴様は小泥棒だな」
「左様で」
「顔を見せろ」
「どうかお慈非に一つ……。まだ牢から押ッぽり出されて、家にも帰っておりません。それをまた、ここから逆戻りしましては、女房や子が嘆きます」
「まだわしを役人だと思ッているのか、そう拝むな、拙者は不浄役人や手先ではない」
「へ。では、お役人様じゃないので」
「ウム、少したずねたい事があって呼び止めたのだが」
「ヘ……ヘイ」
「貴様、日本左衛門の手下ではないか」
「よく御存じでいらッしゃいます。まッたく、そうなんで、ヘイ、嘘は申しません」
「なんという」
「へ?」
「そちの名はなんと申すのか」
「率八というんで」
「率八か」
「お人よしの率八というんで」
万太郎はつかんでいた襟髪を放しました。
そして、つらつらこの小泥棒の顔を見るに、なるほど、愛嬌のある憎めない顔つきをしております。