Classici giapponesi con furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Leggi 浅草風土記 (あさくさふどき) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.294 caratteri · 318 schermate
……が、それにしても、その銀杏返しの人の、しずかに、そういっても安心し切ったさまに、河の上をみまもったままうごかないことである。……それをみると、わたくしに、いまさらあとに引けないものが感じられるのである。
「五分。……あと五分」
わたくしはわたくしの連れの紳士にいった。
その五分。……あとのその五分に於てしかし、暗い水の上にポツリと一つ、赤い火がうかんでいたのである。そして、だんだんその赤い火のわれわれのほうに近づいて来たとき、われわれは、われわれの待っていた舟の、昔なつかしい櫓の音をはッきり感じたのである。……同時に、間もなくその舟の着いたとき、そしてその桟橋を上って来たその舟からの客の、お内儀さん風の女の人一人だったのをみたとき、いかにその舟の、向河岸からの来方に手間がとれたかということがわたくしにはッきり分ったのである。……渡しというもの、そんなにも乗りてがなくなったのだろうか?……
このあと、四五日して、わたくしは、鏑木清方さんに逢う機会をもった。……わたくしは詳細にその話をして、鏑木さんに、その銀杏返しの女性をわたくしがもし日本画家ならば描くがという意味のことをいった。