Classici giapponesi con furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Leggi 浅草風土記 (あさくさふどき) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.294 caratteri · 318 schermate
二
すなわち、ぼくは……いいえ、およそ手紙を書くことのきらいなぼくにして、すぐに返事を書いたのである。
“お手紙、ありがたく拝見。三つ子のたましい百まで、ぼくはいまだに芝居ごッこをつづけています。
およろこび下さい、ぼくは仕合せです。
ぼくの田原町のうちはつぶれました。しかし、あれは、ぼくの芝居ごッこがつぶしたのではありません。いまなら、それで、立派につぶしてみせますが、あの時分には、まだ、それだけの勇気はありませんでした。
是非、一度、お目にかかりたいと思います。ふるさとにまわる六部は気の弱り、で、ぼくは、このごろ、しばしば浅草恋しいおもいにかられます。そして、あなただけが、浅草というところのその後について、ぼくの聞きたい、知りたいと思っていることを、正確につたえて下さるのではないかと思います。”
……書き了ったとき、ぼくに、ぼくの育った時代の浅草広小路のけしきが……浅草寺の年の市の近づくそれがまえぶれの曇った空が……その空の下に垂れた柳の枯れた枝々が……“芝居ごッこ”の立廻りの、銀紙を貼った刀のにぶいひかりが、はッきり、感じられた。
二
が、そう思っても、右からひだり、器用に事の運べないこのごろのぼくは、その後、この旧友に、何んら連絡することなしに、うかうか半年あまりをすごした。