Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
まして初めから魂のやわらかい我らじゃ。察しておくりゃれ」
彼は玉藻に肩をすり寄せて、女の髪の匂いを嗅ぐように顔を差しのぞいてささやくと、玉藻は顔をすこし赤らめてほほえんだ。
「又そのようなことを言うてはお弄りなさるか。その日の風にまかせて、きょうは東へ、あすは西へ、大路の柳のように靡いてゆく、そのやわらかい魂が心もとない。なにがしの局、なにがしの姫君と、そこにも此処にも仇し名を流してあるく浮かれ男のお身さまと、末おぼつかない恋をして、わが身の果ては何となろうやら」
「なんの、なんの」と、男は小声に力をこめて言った。「むかしは昔、今は今じゃ。兼輔の恋人はもうお身ひとりと決めた。鴨川の水がさかさに流るる法もあれ、お身とわれらとは尽未来じゃ」
「それが定ならばどのように嬉しかろう。その嬉しさにつけても又一つの心がかりは、数ならぬわたくしゆえにお身さまに由ない禍いを着しょうかと……」
「由ない禍い……。とはなんじゃ」
玉藻は黙ってうつむいていると、兼輔はやや得意らしく又訊いた。
「お身と恋すれば他の妬みを受くる……それは我らも覚悟の前じゃ。諸人に妬まるるほどで無うては恋の仕甲斐がないともいうものじゃ。