Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
彼は三度の食事すらも快く喉へは通らないようになってきた。
それから四日ほど過ぎて、大納言師道が来た。彼の報告はさらに忠通の心を狂わせる種であった。玉藻を采女に申し勧める一条は、果たして左大臣頼長から強硬なる抗議が出た。信西入道も反対であった。彼らの反対は師道も内々予期していたので、彼もなんとかしてその敵を押し伏せようと試みたが、何をいうにも正面の敵は頼長である。しかも博学宏才の信西入道がその加勢に付いているので、師道はとても彼らと対抗することは出来なかった。結局さんざんに言いまくられて、彼は面目を失って退出した。
「彼らは何故ならぬという。素性が卑しいと申すのか」と、忠通は唇を咬みながら訊いた。
「いや、そればかりではござりませぬ。玉藻という女性に就いては落意しがたき廉々があるとか申されまして……」と、師道もすこしあいまいに答えた。「あのような女性を召されては天下の乱れにもなろうと信西入道が申されました」
「なんの、天下の乱れ……。おのれらこそこの忠通を押し倒して、天下を乱そうと巧んでいるのじゃ」
忠通は拳を握って、跳り上がらんばかりに無念の身をもだえた。