Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
彼はその実否を確かめるために、今夜こそは小町の水の近所へ忍んで、怪しい光りを放っていく女の正体を見定めようと決心した。
きょうも思わしいあきないもなしに、彼はいつもより早く帰った。そうして、夜の更けるのを待って、かの古い塚をつつんだ大きい杉の森の近所へ忍んで行った。雨気を含んだ暗い夜で、低い空の闇を破って啼いていく五位鷺の声がどこやらで聞こえた。彼はふたほどもそこに立ち迷って、自分の眼をさえぎる何物かのあらわれるのを待っていたが、その夜はなんの獲物もなしに帰った。
あくる日、彼はかさねて京へ出て、三浦の屋敷の門前に立った。衣笠がその後の様子を知りたいので、彼は根よく門前にさまよっていると、顔を知っている家来の一人が出て来た。よび止めてそっと訊くと、その後には何の怪異もない。衣笠も無事である。三浦介はそのあやかしを鎮めるために蟇目の法を行なっているとのことであった。それを聞いて千枝太郎はすこし安心したが、衣笠に逢えないで帰るのがやはり心さびしかった。彼は何物にか引き止められるような心持で、門前に暫くたたずんでいた。
思い切ってそこを立ち去った彼は、さらに土御門の方角へ足を向けた。