Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate

Aozora Bunko

「年上の女房は亭主を可愛がるものですよ」

と蕩けるほどな年増の肌目を、怖ろしいほど見せつけて、これでもかこれでもかと蠱惑な匂いをむしむしと醗酵させながら、精根の深い瞳の中へ年下の男のなめらかな悶えを、心ゆくまで吸い込んでゆく――新九郎の総身の血は磁石に触れたように荒れ狂った。その誘惑は、玲瓏に引き緊まった処女の千浪の比ではない――何んという明けッ放しな、そして女の爛熟しきった麻酔だろう。彼は思わず、クラクラとして、危うくお延のふッくらした脂肪ざかりの腕の中へ抱き込まれようとした――いや獅噛みついて白い乳房を噛み破ろうとしたまで熱い血に挑まれた。

「これ、人に気取られては一大事じゃ」

「誰がこんな夜更けに来るもんかねえ……」

「でも……」

新九郎は拒む言葉に窮した。より自分の堅固が怪しくさえ思われたので、彼は無言にお延の粘りこい手を振りもいだ。

「そんなに羞かしいかえ……」

お延はしどけない妖姿を、グイと仰向けに反らして顔を短檠に届かせた……フッ……短檠の灯は吹き消された。

「あ……」

新九郎は身を竦ませた。するすると闇を探ってきたお延の温い――刎ね返されないような魅力の腕が、新九郎の頸を深く抱きしめた。