Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
振り顧った鐘巻自斎は、不審しそうな顔で、
「何じゃ」
と、鷹揚に足を止めて待ち構えた。
「お珍しゅうございます。鐘巻自斎様、わっしは由良の伝吉でごぜえます――とだけでは、お覚えはございますめえが、つい後月、丹後の湧井郷で、河の中へお前さんのために、逆とんぼを打って、抛り込まれた野郎です」
「おお、あの時の血気者か。して何ぞ用か」
「血気者はおそれ入りました。用と申しましても、藪から棒にはお話がしきれません。済みませんが、そこらへ、お掛けなすッて下さいませんか」
「よかろう……」
と自斎は気軽く、伝吉の所望を入れて、波うち際へ腰を下ろした。
さて、こう面と対って、開き直ってみると、磊落には見えても、さすがに富田三家、随一人の名剣客、素町人の頭を圧するような威風を備えているが、町人種の中でも、ひと節筋骨の鍛えが違う由良の伝吉も、またそれに圧倒されているような男ではない。
「用と申す趣は?」
短いが重味のある一問、名人の眸と、胆ッ玉の光を現わしている伝吉の眼とが、まずもって、ガッチリ火花を散らすように出ッくわした。
「お引き止め申して相済みません。実は、烏滸がましゅうございますが、さるお人に代って、お願え申したいことがあるんでごぜえます」