Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
まして行く手にあたって怖ろしい殺気がある。西へ避けろ、上州路へ廻れ」
と云った。また、鵜飼の運命を見ると、老人は何故か口をつぐんでしまった。そして一言、
「後ろを振り顧らずに、一散に江戸へお帰りなされ」
と暗示めいたことを告げた。
しかしその時は、座興ぐらいに思って鵜飼も大之進もそこを立って来た。けれど、千浪と重蔵とは、老人の占言があるばかりでなく、何となく賭仕合の小屋で聞いたところに疑念を抱いていたので、不動院からにわかに道筋を変え、上州路へ折れてしまったのである。
一方、夏目と鵜飼の両名は、そのまますぐに江戸へ急いでしまえば、この奇禍にも遭わなかったろうに、不動院を出ると間もなく、鵜飼六太夫の方から口を切り、幸手の網屋で今宵は別盃を酌もうと云い出し、抜け道をとってそっちへ廻った。と街道を歩きながら六太夫が、
「大之進殿、今日かぎりでこの尺八も捨てるのだ。一ツ別盃の前に別れの一曲を吹こうではないか」
と興に乗じて云いだした。
「縁起でもない、別れの曲は止したがいい」
「では何なりと、気任せの調べ合せはどうじゃ」
「よかろう」
二人はすぐ歌口をしめして吹き合わせた。