Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
「酒も好いもの!」
と、吾にもあらず呟いた。と、その時、ばたばたと梯子を上がって来た茶屋の女が、
「あのうお客様。唯今八、九人づれのお方が、案内も待たないで上がってしまいましたが、本当にこちら様のお連衆なのでございましょうか」
「おいおい、俺たちにそんな連者はねえ筈。滅多な野郎をここへ通しちゃいけねえぜ」
「でもお止め申している間に……あらッ!」
女が飛び出す途端に、のッそり部屋の入口から中をのぞいた一人の男。こんがらはいきなり、
「やッ、てめえは笊組の三下だな!」
杯洗をとって素迅くその影へ投げつけた。ザッと座敷一面に散った水玉と共に、フッと行燈の灯が消える。同時に闇にあたってガチャン! と瀬戸物の砕ける音。
部屋の外に立った男は、飛んできた杯洗をかわしながら、後ろへ手を振って、
「慥にこんがらとせいたかだッ!」
と大声を上げた。
「それ踏ン込め」
合図に応じて、次の間の襖を蹴破るが早いか、いきなりそこへ斬り込んできた笊組のあぶれ者。女たちは仰天してきゃッと悲鳴を上げながら遁げ転んでゆく。新九郎は壁を後ろに飛び退いて、愛刀を素迅く横に抱えながら闇を見透した。