Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
「うぬ、よくも存分にこの重左を罵ったな」
「いいえの、もういつまで其方どもをかもうてはおられぬ。さ新九郎、猶予することはないぞ、妾の駕に早う乗って邸へ帰ったがよい」
「ならぬッ。こうなれば山手組の意地としても、其奴を渡すことは金輪際ならぬわい」
「おお何とでも沢山吠えやい、好きに意気地を張って見やいの。やがてすべてを裁いて下さるお上のお手先が程なくここへ来るであろうから」
「な、何だと?」
さすが剛愎の武家奴も、御方の腕の冴えや落着きように、先刻からすくなからず舌を巻いていたところへ、この無気味な暗示を投げられたので、何とは知らず恟ッとしたらしかった。しかもそれは徒らな脅し文句ではなかった。
御方の言葉が終ると一緒に、思わず八方を見廻した六人の黒装束が、
「や、や、や! あの物音」
愕然と居所を失って狼狽えだした。見れば六、七町の彼方、牛ヶ淵の濠端添いを真っ直ぐに、高く低く無数の御用提灯が燦めき出し、心なしかワッという鬨の声と共に、戞々と鳴って来る騎馬与力の蹄の音さえ間近く大地を刻んで来た。
三
梅茶亭を出る前に、使いに書を持たせて密告してやった奉行与力の者が、早くもここへ駈けつけて来たなと知って、御方の小憎い笑靨に、勝ち誇った色がありありと泛かぶ。