Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate

Aozora Bunko

「お通様か……」

と冷たく言った。

「ようご無事でいて下さいました、菖蒲の寮が焼けた夜から、皆目お行方が知れぬとやらで、どんなにお案じ申していたか知れませぬ」

「いいえ、この光子は、滅多にそんな不覚はしませぬ、決して案じて賜もるな」

「それはとにかく、このような侘しい家においででは、定めしご不自由でござりましょう。また上様にお願いして、どこぞへ美々しいお屋敷を建てて戴きまする」

「何の、もう前のような暮しは懲々じゃ。どうぞしばらくの間は、何も構わず、ほっておいて下されいの、我儘な姉を持って、定めしそなたさまも大奥で肩身が狭かろうが……」

「…………」

お通の方は睫毛に水晶のような涙を泛かべた。――姉妹とも下冷泉家の息女、玉の如き麗色に劣り優りはないが、今の境遇と気性は怖ろしい隔たりである。

将軍家綱の寵を一身にあつめているお通の方も、御方の切下げ髪を見たり、悪い噂を聞いたりする度に、その身が針で刺されるように辛い。――どこまで淪落して行く姉であろう、どこまで荒んで行く心であろう――一つはそれも心配でならないのだった。

今日、お忍びでここへ尋ねて来たのも、妹ながらすこしは意見をのべるつもりであったが、逢って見ると姉の強い気性に押されて、お通の方はただ涙ぐんでしまうばかり……そのうち、侍女から時間を注意されて、すごすご