Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
と云うものもあれば、
「かような美女を小藩者の冷飯武士の自由にさせるは惜しい、大月先生のご所望を突ッぱねたとは冥加を知らぬ奴じゃわい」
などと人もなげに追従をつくす門人もあった。
「こりゃ千浪――」と一人樹の根に掛けて離れていた大月玄蕃は、冷然と一睨して、
「何もそう愕くことはない――泣くこともなかろう。そなたの父が頑固のためかような手荒も心なく致したのじゃ。のう、機嫌直して門人たちの酌でもしてやれ、今に駕でも参ったら今宵のうちに宮津の城下を見せてやる。その上明日からは福知山の何倍もある大大名、京極丹後守の指南番大月玄蕃が宿の妻に出世するのじゃ――満更そちに酷い為業でもあるまいがの」
と千浪の側へ佞媚の顔をすり寄せて来た。
「千浪殿、お顔を上げなされい。先生ほどの男に想われたは女冥加、さ、拙者たちもこれまで骨を折った褒美に酌でも致してもらわねば埋まらぬ」
とかなりに酔った一人の門弟が、堅く俯伏して身を護っている千浪の後ろから、無理に抱き起そうとすると、
「無礼しやるなッ」
と紅唇を破った声に突き刎ねられた。
そして白い面を振りあげた、千浪の乱れ髪の隙から射るような眸がきっと耀いた。