Classici giapponesi con furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate
上野の寒松院ヶ原で巡り会った時、面目なさの余り、二度と今生では会うまいという手紙を二人の手に届けてある。玄蕃を討ったからと言って、過去の罪が消える訳でもなし、自分が堕落から解脱したことになるのでもない。
会わなくともいい、このまま二人に会わなくとも、これで幾分か自分の気が安らぐ。大月玄蕃さえ世に亡き者となれば、兄は郷里の月巣庵で余生を長閑に送るだろうし、千浪は家中のよき聟がねを選んで、正木家の家名を再興するだろう。そして仁慈に富んだ忠房公は、二人の半生を護って下さるだろう。
それで満足だ。終生会わなくとも、兄と千浪がそうなってくれさえすれば自分は満足だ。
うれしいぞ、うれしいぞ、こんなうれしい朝はない。
そして自分は、どうせ腐れ縁となった御方とは切れぬ仲だ。なるようになって、終るように終るだけのことだ。昨夜やッたことが自分の器量いっぱいなのだ。この上、鐘巻自斎を打ち込むなんていうことは、三度も生れ変らなければ出来ッこない。
新九郎は息もつかずに走りながら、胸の裡でこんなことをちぎれちぎれに考えた。
またたくうちに、愛宕の松平忠房の下屋敷まで駈けて来た。