Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
所詮、人情の温かみにめぐまれる日はないものと、淋しい覚悟を持っていたが……」
「私の悩みと似ておりますのね」
「お前というものがいつかそれに選ばれたのだ」
「ほんとに嬉しゅうございます」
「女房になれ」
お蝶の腕を引寄せて、その肩を抱えました。
「なりますわ。いつまでも、屹度……」と、引寄せられたまま、抱擁の力を求めるように媚の謚るる目をあげて男の顔を見上げました。
「親分、何にもありませんが」
と、そこへ率八の声がして、戸口から射し込む光線の中に、酒と膳とを運んで来た彼の姿が立ちました。
「お蝶さん、此処へ置いて行きますから、お酌はよろしく頼みますよ」
「あい」と、彼女はいそいそと受けて、
「まあ、なかなか御馳走が」
「率八も可愛い奴、あいつだけは、早く足を洗わして、矢来の中の往生はさせたくねえものだ」
お蝶は、彼の杯へ一つ酌いで、
「私も死ぬのはいやですわ」
「それや誰だってそうに違えねえが、人間には、何の力も及ばぬ運命がある」
「どんな運命が向って来ても、私は屹度生きて抜けます」
「お前は、おれより気が強そうだな」
「弱い気持では、とてもこの世間に、生き通して行けませんもの。