Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
」
それまで、ひッそりと、ゆかしい薫と気配をこめていた女駕の中で、
「なに、盗賊だと?」
生々した、しかも男性的な、若者の声が、
「面白い!」
と、ひびきました。
スッと、内から駕の塗戸をあけて、半身乗り出すように姿を見せた人物を仰ぐと、青月代の凜とした殿ぶり、二十前後と思われます。黒羽二重の袖は葵のかげ紋、装剣の美をちりばめた前差の柄に、遠い星の光が吸われている。
幕府三家の一、尾張中将綱誠の七男、徳川万太郎その人です。
それにしては、女駕の御守殿の供人など、合点のゆかない行装であるが、父中将の持てあましている万太郎君の日常を知る者には、さほど、目を瞠るに足らないことで、今日は真間の釈迦堂から遍覧亭あたりの今盛りと聞く紅葉見物に出かけた帰りで、例の部屋住み気分の座興がつのッて、姉君の女駕をさらって、あとの困り方を想像しながら、ひとり興がりつつ、市ヶ谷御門外の屋敷へ急がせてきたところ。
「盗賊とは面白いやつに会った。つかまえてやろう、草履を持て!」
と、抱え刀で、片足を出す。常の若殿ならば白足袋であるべきに、万太郎の好みであろうか、紺の足袋が異に見えました。