Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「こいつ、逆上ッているな……ふ、ふ、ふ、ふ」
と、日本左衛門は笑いかけましたが、それは火のつきそうな怒気を自嘲する身ぶるいにも似ておりました。
「おれの気持がわからないと見える。女子と小人は度しがたしというやつか」
「女の気持もべつですからね、御親切は身にしみますが、一方と手を切れなんて、情けの押し売りはやめてください」
「では、どうしても、金吾とは手を切らねえというのだな」
それには、空耳を装って、しどけない帯の結びや小褄の前を直し、顔にかかる乱れ髪を白い指先でかきあげながら――
「ほんとに、ひどい目に会わせやがッたよ」
呟やいて、うしろ向きに、
「――じゃア親分、お風邪をひかないようにいらッしゃいね」
「待て待て、お粂、お粂」
「なんですか」
「待てッ!」
「親分とは、今夜ここで、きれいに別れる約束をしたはずでした」
「うーむ、ぬかしたな?」
「未練じゃありませんか、去った女に」
「ちイッ」
というと、かれの手にふるえていた編笠はポンとうしろへ――
「売女めッ」
という一喝――抜き打ちの大刀と、はねおどッた五体とが、ほとんど同時にお粂の襟筋へ飛びつきました。
せつな!