Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「かなしや、恋に陥ちておるのでござります」
「かなしむことはあるまい。恋をする年ごろの女、なんで不思議があろうか」
「それ故に、老いの目から見れば、ふびんに見えてなりませぬ。自体が吾まま育ち、それに、人には明かされぬ短命な病気がござります。――もっとも、その病の方は、或る、秘薬を見出して、よほど見直しておるとは存じますが、この老人でも亡い後は、たれが、手に入れ難いその秘薬をつづけてくれましょうか」
老人の声がほろりと哀れをふくみました。頬の落ちたところに燭の影が濃く、涙をこらえる顔のすじが、びくりとうごいて見られます。
――声をのんで、また平調に、
「で、当家の世つぎに選ぶ聟がねさえ、めったにはないものを、そんなこんなの思慮はなく、好きなものを自由に恋したのでござります。それと察した時は、実もって、千蛾は当惑いたしました。……お察しくださいませ、ひとつぶの愛娘、恋をかなえてやりたいのは山々で、しかも、短命な遺伝のある娘、恋はかなえてやりがたい事が、初めから分っているのでございます」
「分った」
と、万太郎は同情のあるうなずきを与えて、
「そこで、恋の相手は、誰か」