Classici giapponesi con furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Leggi 浅草風土記 (あさくさふどき) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.294 caratteri · 318 schermate
――と、いま、ここにそう書きながら、夏の、ぎらぎらと濃い、触ったらベットリと手につきそうな青い空の下、人あしの絶え、もの音のしずんだ日ざかりの、むなしく白じらと輝いた、でこぼこに石を並べたその細いみちをわたしは眼にうかべた。駄菓子屋のぐッたりした日よけ、袋物屋の職人のうちの窓に出したぽつんとした稗蒔……遠く伝法院の木々の蝉が、あらしのように、水の響きのようにしずかに地にしみた。――その庵室のようなうちには、日本橋のほうの、小間物問屋とかの隠居が一人寂しく余生を送っていた。
出羽作の隣は西川勝之輔という踊りの師匠で、外からのぞくと、眼尻の下った、禿上った額の先代円右に似たその師匠が、色の黒い、角張った顔の細君に地を弾かせ、「女太夫」だの「山がえり」だの「おそめ」だのを、「そら一ィ二ゥ三ィ……ぐるりとまわって……あんよを上げて……」と小さい子供たちにいつも熱心に稽古していた。――それに並んで地面もちの、吉田さんといううちの、門をもった静かな塀がそのあとずっと出外れまでつづいていた。――子供ごころに、いまに自分もそうした構えのうちにいつかは住みたいとそこを通る毎しばしばそうわたしは空想した。