Classici giapponesi con furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Leggi 浅草風土記 (あさくさふどき) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.294 caratteri · 318 schermate
「やァ……」
いそいでわたしのそういったとき、不意にまたわたしはうしろから呼ばれた。
「よう、これは……」
ふり向いて、わたしは、象のような偉大な存在をすぐまたそこにみ出した。
「何だ、ちゃァちゃんじゃァないか?」
むかしの「わたのがんやく」本舗の一人っ子、いまの少壮区会議員小柴市兵衛君と手を取ってすぐわたしは久濶をじょした。
わたしは、まァ……それにしても、まァ、何年わたしはこの人たちの顔をみなかったろう?
石井の幸次郎君も、小柴のちゃァちゃんも、ともにわたしのむかしの同級生である。おなじく矢っ張、香取先生に、あなたはわたくしよりせいが高い、かれはあなたよりせいが高い、かれは三人のうちで一番せいが高い、を教わった仲間である。――石井の幸次郎君は猿若町に、小柴のちゃァちゃんは馬道五丁目にそれぞれ古く住む正真正銘の浅草っ子。……いくら逢わなくっても、いくら遠々しくしていても、顔をみればすなわち昨日逢ったとおなじ親しさ心安さのすぐそこに感じられるのは、必ずしも子供の時分の附合だからばかりじゃァない、一つにその人たちが土地っ子だからである、いつになってもかわるところのない嬉しい土着人だからである……