Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
阿闍梨はもう六十に近い老僧で、関白家建立のお寺のあるじには不似合いの質素な姿であったが、高徳の聖と一代に尊崇されるだけの威厳がどこやらに備わって、打ち解けた仲でも兼輔の頭はおのずと下がった。
「左少弁どの、久しゅう逢わなんだが、変わることものうてまずは重畳じゃ。きょうは一人かな」
「いや」と、言いかけて兼輔は少し口ごもった。
「連れがあるか」と、阿闍梨は俄に気がついたように甥の顔をきっと見た。「お身のつれは女子でないか」
星をさされて、兼輔はいよいよ怯んだが、叔父にいやな顔をされるのはもとより覚悟の上であるので、彼はかくさず答えた。
「余人でもござりませぬ。関白殿御内に御奉公する、玉藻という女子でござりまする」
関白殿をかさに被て、彼はかたくなな叔父をおさえつけようとしたが、それは手もなく刎ね返されてしまった。
「たとい御内の御仁であろうとも、わしは女子に逢わぬことに決めている。対面はならぬと伝えてくりゃれ。それは関白殿にもよう御存じの筈じゃ」
ふだんはともあれ、きょうの兼輔はそれでおめおめと引き退がるわけにはいかなかった。かれは玉藻に教えられた提婆品を説いた。