Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
八歳の龍女当下に成仏の例をひいて、たとい罪業のふかい女人にもあれ、その厚い信仰にめでて、一度は対面して親しく教化をあたえて貰いたいと、しきりに繰り返して頼んだ。しかし叔父は石のように固かった。
「いかに口賢う言うても、ならぬと思え。面会無用じゃとその女子に言え」
「叔父さまはその女子を御存じない故に、世間の女子と一つに見て蛇のようにも忌み嫌わるるが、かの玉藻と申すは……」
「いや、聞かいでも大方は知っている。世にも稀なる才女じゃそうな。才女でも賢女でも我らの眼から見たら所詮は唯の女子とかわりはない。逢うても益ない。逢わぬが優しじゃ」
なんと言っても強情に取り合わないので、兼輔も持て余した。今更となって自分の安受け合いを後悔した彼は、玉藻にあわせる顔がないと思った。といって、この頑固な叔父を説き伏せるのは、なかなか容易なことではないので、彼も途方にくれて窃かに溜息をついていると、遠い入口に待たせてあるはずの玉藻がいつの間にここまで入り込んで来たのか、板縁伝いにするりと長い裳をひいて出た。
兼輔はすこし驚いた。阿闍梨は眼を据えて、今ここへ立ち現われた艶女の姿をじっと見つめていると、玉藻はうやうやしくそこに平伏した。