Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
「はて、言うものには言わして置いたがよい。わたしも父さまの病いが癒ったら、お前の叔母さまのところへ烏帽子を折り習いに行きたい」と、藻は言った。
「おお、叔母御でのうてもわしが教えてやる。横さびでも風折りでも、わしはみんな知っている。来年になったら、わしも叔父御と連れ立ってあきないに出るのじゃ」と、千枝松は誇るように言った。
千枝松は烏帽子折りの職人になるのである。藻もその烏帽子を折り習いたいという。そこにどういう意味があるのか、確かに理解していないまでも、千枝松の若い胸には微かに触れるものがあった。彼はいよいよ藻と親しくなった。その藻の父が長くわずらっているので、彼は自分の父を案じるように毎日見舞いに来た。そうして、藻が清水へ夜詣りにゆくことを一七日の後に初めて知って、彼はいつになく怨んで怒った。
「なぜわしに隠していた。幼い女ひとりが夜道して何かのあやまちがあったらどうするぞ。わしも今夜から一緒にゆく」
彼は叔母の許しをうけて、それから藻と毎夜一緒に連れ立って行った。強そうな顔をしていても、千枝松はまだ十五の少年である。盗賊や鬼はおろか、山犬に出逢っても果たして十分に警護の役目を勤めおおせるかどうだか、よそ目には頗る不安に思われたが、藻に取っては世にも頼もしい、心丈夫な道連れであった。