Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
卜占を学んだ。さすがは泰親の眼識ほどあって、年にも優して彼の上達は実に目ざましいもので、明けてようよう十九の彼は、ほかの故参の弟子どもを乗り越えて、やがては安倍晴明以来の秘法という悪魔調伏の祈りをも伝えらるるほどになった。彼は泰親が秘蔵弟子の一人であった。
それほどの事情を詳しく知らないまでも、むかしの千枝まが今は千枝太郎泰清と名乗っていることが、玉藻に取っては意外の新発見であるらしかった。彼女はこの昔の友に対して、過去の罪を悔むような打ちしおれた気色をみせた。
「のう、千枝太郎どの。お前はさぞ昔の藻を憎い奴と思うでござろうのう。わたしもまだその頃は幼な心の失せいで、お宮仕えの、御奉公のと唯ひと筋にあこがれて、お前を振り捨てて都へ上ったが、くどくも言う通り御奉公は辛い切ないもの、山科の田舎で気ままに暮らした昔が思い出されて、今更しみじみ懐かしい。お前とてもそうであろう。泰親殿は気むずかしい、弟子たちの躾けかたもきびしいお人じゃと聞いている。朝夕の奉公に定めて辛いことも数かずあろう。出世の、果報のと羨まれても、それがなんの身の楽になることか。おたがいに辛いうき世じゃ」