Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
と、小源二は烏帽子の緒を締め直しながらささやいた。「きのうの夕暮れじゃ。衣笠どのが端近う出て虫の音に聞き惚れていらるると、庭の秋草の茂みから煙りのように物の影があらわれた。見るみるうちに、それが美しい上臈の姿になって、檜扇におもてをかくしながら涼しげな声でこう言った。お身は京に長くとどまっていたら必ず禍いがある。早う故郷へ戻られいと……。しかし衣笠どのは気丈の生まれじゃで、眼も動かさずにじっとその怪しい物を見ていらるると、上臈はまた言った。わらわの申すことを用いねば命はないぞ、その期に及んで後悔おしやるなと、言うかと思うと、その檜扇の蔭から怖ろしい……人か幽霊か鬼か獣か判らぬような、世に悽愴い変化のおもてが……。侍女どもはさすがにあっとおびえて思わず顔を掩って俯伏してしまったが、衣笠どのはあくまでも気丈じゃ、懐ろ刀に手をかけて寄らば討とうと睨みつめていらるると、怪しい上臈はあざけるように、ほほと軽く笑いながら、再び草むらへ消えるように隠れてしまった。大殿にはそれを聞こしめされて、この古屋敷は変化の住み家とみゆるぞ、とく狩り出せよとの下知にまかせて、われわれ一同が松明振り照らして、床下から庭の隅ずみまで隈なくあさり尽くしたが、鼬一匹の影すらも見付からなんだ。