Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
それを語っている旅びとは陸奥から戻って来た金売りの商人であった。大きい利根川の水もこの頃は冬に痩せて、限りもない河原の石が青い空の下に白く光っていた。ふたりの旅人はその石に腰をかけて、白昼の暖かい日影を背に負いながら並び合っていた。
「それほどの狐であったら、容易に狩り出されそうもないものじゃに……」と、千枝太郎は独り言のように言った。
「なんでも七日あまりはその隠れ場所も知れなんだが、朝から折りおりに陰って大きい霰が降って来た日の午過ぎじゃ」と、金売りの商人は語りつづけた。「どこからとも知れずに一本の白い幣束が宙を飛んで来て、薄むらの深いところに落ちたかと思うと、人も馬も吹き倒すような怖ろしい風がどっと吹き出して、その薄むらの奥からかの狐があらわれた。それを三浦と上総の両介どのが追いすがって、犬追う物のようにして射倒されたということじゃが、その執念は怖ろしい。その弓に射られて倒れたかと思うと、その狐の形はたちまちに大きい石になったそうな」
「石になった」と、千枝太郎は眼をみはった。
「おお、不思議な形の石になった」と、旅商人はうなずいた。「いや、そればかりでない。