Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
彼女の魂のありかは確かにそこと見きわめられたのである。千枝太郎はわざわざたずねて来た甲斐があったように嬉しく感じた。
「いろいろのお心添え、かたじけのうござった」
彼はここで都へ帰る商人にわかれた。そうして再び北へむかって急いで行った。それから幾日の後に野州の土を踏んで、土地の人にきいてみると、殺生石のうわさは嘘でなかった。彼はわざと真夜中を選んで、那須野の奥へ忍んで行った。
十一月なかばの夜も更けて、見果てもない那須の篠原には雪のように深い霜がおりていた。物凄いほど高く冴え渡った冬の月が、その霜に埋められた枯れすすきを無数の折れた剣のようにきらめかせているばかりで、そこには鳥の啼く声も聞こえなかった。獣の迷う影も見えなかった。野州から陸奥につづく大きい平原は、大きい夜の底に墓場のように静かに眠っていた。
事実に於いて、そこは怖ろしい墓場であった。金売りの商人が話した通りに、原の奥には大きい奇怪な石が横たわって、そのあたりには無数の骨や羽が累々と積みかさなっていた。千枝太郎は笠の檐も隠されるほど高い枯れすすきを泳ぐように掻きわけて、そこらにうず高い骸骨の山を踏み越えながら、ようようのことで石と向かい合って立った。