일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

その絹ハンケチの縁かがりや刺繍風の加工をする小工場や下受けが、全市の裏町にどれほどあったかわからない。彼女らはつまりそれの従業者なのである。一種の織娘みたいなものだ。だが彼女らは余得として得た絹ハンケチをあだかも誇りのように襟元へ三角形に垂らして首に巻いて歩くという一種の風俗を生んでいた。その紅や紫や青や桃色などの色とりどりを襟元にひらめかせつつ、町の夕風の中を群れて歩き、男の愚連隊などと、もつれ歩いていたりする風景も珍しくなかったので、ハンケチ女というと、不良少女群のような響きをもっていたのである。

けれど彼女らは、浜の主体経済の中にいて、稼ぎを競っていた者たちだから、金づかいも荒かった。賑座には、紅黄白紫のハンケチがいつも平土間を埋めてい、贔屓役者に奇声のこもった声援を送っていたものである。中には、なにがしという俳優は、ハンケチ女の専売であるなどと蔭口も平気で客にいわれていた。そういう雰囲気の小屋なので、ぼくら子供心にも、何となく、ここへ足が向け難かったのであるが、佐倉のおじいさんには、又なく愉しい風景らしく、杯を手に、わけもなく眼をほそめて観劇三昧に一日を過すのだった。