일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

白い行商手帖

同時に、何か泣きたいような辛さが胸にこみ上げていた。ぼくは、どう答えて往来へ出たろうか。道を行く人の全部がみな自分を見る見物人のように思えた。どこへ行くあてもない。自分の脚でないものが自分を支えて歩かせているような気もちだった。いわば夢中であったのだろう。そのくせ軒並みの家や人の多い所は無意識に早足で通ってしまい、場末の淋しい方へとばかり自然に足が向いてしまうのだった。

白い行商手帖

行商流行期ともいえる時代が、かつては世間にあったようである。

今のような百貨店配達や小売店網がまだゆきわたらなかった過渡期には、背負い呉服やら、唐物、薬種、雑貨荒物、文房具、煮豆の類まで、多くは行商人たちの足が各戸の需要にこたえていた。だから、ぼくのやった小間物行商なども、今考えると頗る間の抜けた商売に思われるが、当時では、おかしくもなく、また結構、大の男の職業にもなっていたにちがいない。

けれど、ぼくにはさっぱり商売にならなかった。いくら勇を鼓してもだめだった。見ず知らずの家の垣を、のこのこ内へ這入って行くことも、締まっている静かな格子戸を明けて「……小間物屋ですが、何か、要りませんか」