일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

で、簡略にするが、職業紹介所という文字を、世間に見たのは、ぼくにとって、その時が初めてだった。――という事を友人に話したら、その友人は、いや明治四十三、四年頃なら、日本でも職業紹介の制が民間に創始された極く初期か、或いは、基督教会青年部のその若いインテリ夫婦が最初の試みをやった人かもしれない、おもしろい因縁だから、ひとつ調べておこう、と云ってくれたが、まだ以後の返辞は聞いていない。

とにかく、ぼくは運がよかった。路傍をまごつく事もなく、又、一円七十銭しかない乏しい嚢中もそう減らさずに、正月を越せたのだった。食事は外のめし屋へ喰べに出かけ、一回五銭か六銭で足りた。横浜では、小さい時から、教会にも折々は行ったことがあるので、若いクリスチャン夫妻とも、多少宗教的な話もできた。それに自分にはまだ、朝々霜を踏んでドックへ通った勤労癖が身に沁みていたから、云われないでも、門口を掃いたり雑巾がけを手伝うぐらいな仕事は、義務として、何の卑下も億劫でもなくサッサッとやった。

鼻下に優しい髭のある知識層らしいそこの主人は「君ネ、勉強しながら働く口となると、実際はなかなか少ないんだよ。