후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
葬列の後について駈け歩いたものだった。
その日の子供とは、全くべつな児童みたいに、行儀よく整列して見たのは、しばしば、この狭い貧民街を通られた明治天皇の鹵簿である。
明治天皇の競馬好きは内外に著名であった。春秋の根岸競馬へは、前後十数回も行幸があったことかと思う。祭日か日曜日なので、ぼくらは学校の先生に引率されていたわけではないが、みんな日の丸の小旗を持っていた。いろは長屋の住民から町の男女の立ち並ぶ中に交じって、四頭立てオープンの菊花紋の輝く御馬車へ、歓呼と共に紙旗を振りぬいた。
道幅がせまい上に、両側の厚い人垣が押し合うので、陛下の鹵簿と群集とは、ほとんどスレスレな間隔しかない。どうかすると、後ろから揉み出された人波の凸出に、先駆の儀仗兵の馬が刎ねたりして、御馬車が行き淀んだりするのである。それはまた、ぼくら子供たちの歓ぶ事であり、その間、なお紙旗を打振って叫ぶのだが、手を伸ばすと、両側の紙旗は、陛下のお体にも触りそうなくらいであった。御馬車はオープンなので、陛下はお顔のそばに挙手の白い手袋をおかれ、時々、左右へ向って微笑されたりした。――そして競馬場のグランドの空には、打上げ花火がさかんに鳴る。