후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
それにぼくを見るとすぐ老眼から涙を垂れるので、何だかぼくも自分を持ち扱ってしまい、いつも早々辞去してしまうのだった。
南京町の会にはまだ時間が早過ぎていた。――こんな時でもなければと思い、その日、二時間ばかりで横浜中を車で走り巡ってみた。おそらく、あとかたもあるまいと予想された所にさえ、何かしら、ぼくの遠い記憶とむすびつく物が残っていた。わずか三、四十年の間に大震災と戦災にあい、特に米軍の進駐で極端に切りキザまれた横浜だけに、案外な気がして、とても生きてはいまいと思われた古い知己と、行く先々で、ひょッこり、出会ったのと同じような感にうたれた。また、大地の執拗なまでの保守性と時への抵抗にもいささか呆れた。
そしてぼくはさいごに、山手の遊行坂の上へやって来た。――そこに家のあった七歳から九歳頃までの記憶を伴って少し歩いてみた。桜並木の桜は今一本も無くなっていたが、植木会社はまだ面影だけをわずかに保っており、昔の地域の所に横文字のわびしい看板だけは見せている。
また、坂を降りかけて左側の、ちょうど、ぼくが幼時の家のあった辺は、今そっくり小学校の校庭になっていた。