후리가나로 읽는 일본 고전
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
吉川 英治의 梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 209,260자 · 418화면
ふすまを隔てて、吉保は、白絹の小蒲団に枕をのせ、暢々と寝ころんでいた。そのからだに手をかけている老人は、鍼按摩の大家で杉山流とみずから称えている杉山検校だった。
検校はもう七十近いので、耳は遠く眼はもとより盲いているので、近ごろは何もわからないと、自分の耄碌をよく口癖に喞っているが、
(恍けることも名人)
という世評があるので、吉保は、そのままを信じてもいなかった。だが常々、かれには十分な恩恵をほどこしてある。諸家の内事を訊ねたり、何かの流説を行わせたりするには、恰好な老人であった。
「検校」
「はい」
「凝っておろうが」
「はい」
「そのへんを、ちと強く」
「ここで……」
「むむ。待たせたの、こよいは」
「困りました。他家へまわるお約束がありましたので」
「他家とは、どこか」
「ご老中の……」
と、いいかけて、検校はふと、見えない眼を、ななめに天井へ上げた。ふすま越しに、紋太夫の声がしたからであろう。
六
あり得ないことが世の中にはままある。柳沢家の奥ふかくに、水戸で行方知れずになった佳人がいるなど、ふしぎというほかはないが、たしかにいま、ここの灯影を横にして、泣きもせず笑みもせず、唖のように坐っているのは、雪乃のむすめ、西山荘の帰り途、駕籠ぐるみ、母と共にすがたをかくした――あのお蕗にちがいない。