후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
」と公言していた憤りをも、ついに又、解くことが出来なかったものとみえる。
それについても、ぼく自身、思い出されてならないのは、ぼくの義兄政広と、桜木町の駅で別れた日の事だった。その日、ぼくは義兄を見送るために尾いてゆき、汽車の出るまでホームに佇んでいた。汽車の窓に見せていた義兄の顔はいつになく沈んでいた。――あとで母から聞かされた事情によると、義兄は小田原の養家先である綾部家の山林を売払って、父が生涯の急場を何とか救おうというつもりで帰郷したものらしい。あるいは、あの頑固な父も今は意気地を曲げて「頼む」と頭を下げてわが子へ頼んだものかも知れない。いずれにせよ義兄は事の至難を知りつつ小田原へ立ったのだった。憔悴した元気のない顔をして「英ちゃん、これから苦労するぞ」と、汽車の窓からぼくへ云い、そして思い出したように、左右田銀行から受取ったばかりの月給袋を洋服の内かくしから出して、「これを、お母さんへ渡しておくれ」と、ぼくの手へ預けた。
それが、義兄政広とぼくとの短い兄弟縁の最後であった。小田原での金策は、養家先の親類に嗅ぎつけられて、当然、非難と排撃をうけた事に終ってしまい、その為の不面目を父へ詫びての事であったか、それとも前々から、父親にいだいていた不満がその機に爆発したものか、まもなく一片のハガキを父親