후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
素人の沙翁劇の会、源氏の輪講、句会、短詩の会、いろんな会へも、この頃はよく覗きに行った。鉄砲問屋の西村潤蔵君の北仲通りの家では、毎月読売新聞の句会があり、東京から選者の窪田而笑子がよく見えた。宮島ゆかり女史という青鞜社の同人みたいな新しい女ぶッた令嬢も交じっていたり、何しろぼくの知らない別の世界の横浜では、一面において、そういう富める人や若いグループでの、強烈な物質外の生き甲斐も、渇望されていたように思われる。
そして、短かったが、ぼくにとっても、尾上町時代の一年余は、横浜文化のそういう特異な面もちょっと嗅ぎえたし、書物にも親しめ、絵遊びも出来、感謝していい期間だった。
けれど店も維持しきれず、すべてを負債の抵当に渡して、再び元の貧民窟へ舞いもどる間際には、相当、暗澹たるものが又、母の朝夕の姿には窺われた。ちょうどその頃、母の父、ぼくにとっては祖父の、例の佐倉のおじいさんが、麻布竜土町の長男山上清の家で、臨終に迫っているという電報が来たが、店も家庭も、そんなさいであった為か、父のゆるしが出ず「……お母さんは、親の臨終にも行けない罰当りなんだよ」