후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
おめえは」と、ぼくを睨んだ。それから夜明け方、小屋へ引揚げてゆく途中で又、ショゲているぼくの肩をその人が叩いた。
「あんなこと、覚えたって、しようがあるめえ。おれみたいに成ッちゃうぜ」
小屋へ戻ると、彼はぼくに一そくの木靴をくれた。それまでぼくはみんなの穿いている木靴を羨ましいとは思ったが、革靴のように売ってもいず、手に入れる工夫も知らず、始終、水びたしの足に、ただの破れ靴か草鞋しか穿いていなかったのである。
小屋の仲間は、雨の日とか、夜業の夜には、暇を盗んでよく手製の木靴を作っていた。
どこからか杉材を見つけて来て、足型ともん数に合せ、鉈や鋸や小刀で、まず靴の底から作り初める。サンダルの底部と思えば間違いはない。
皮革の部分はズックで作る。これはロップ小屋などから持ち出してくる。そしてブリキ板を細い帯状に切り、木の底部の縁とズックの被包面との継ぎ目を縫糸の代りに鋲でトントン打ち止めるのである。紐通しの穴金具は、これは靴屋で買っておく。――それでもう穿けるのだが、なお防水の為に、ズックの面をお手の物の油脂で塗りたくる。案外丈夫で、何よりも足がとても暖かい。